■第2章 お伽噺

■第2章 お 伽 噺


美しい四季を巡る フローリア。
青いソーダ水の中を舞い踊る アクアリス。
雲を突き抜け、わたあめの上を駆け抜ける スカイハイ。
こげるほどの熱さと熱風が吹く ホットビート。
迷路のような洞窟を彷徨う ケビオス。
冷たい鉄の感触を踏みしめ、数々の敵に立ち向かう メックアイ。
足元で光る星々を頼りに旅する ハーフムーン。
 
星を繋ぎ、泉に並べてはまた繋げて並べる。
ぼくたちは歯車が回るのを待ち続けた。
 
一つ・・・また一つずつ・・・
 
 
〈そもそも”ノヴァ”とは何なのだろうか?〉
ぼくはマルクと出会うまではその存在を見聞きもしなかった。
だからぼくはマルクに尋ねてみた。
 
「ノヴァのことが気になるのかい?でもボクも見たことはないんだ、ノヴァをサ。
じゃあ何故知ってるかって?ある図書館でノヴァについて書かれていた本で知ったのサ。」
 
             *

ボクはあの日の夜のことを思い出した。ずいぶん前のことだけどボクはハッキリと覚えている。
静まり返った魔法図書館でひとり、血眼でノヴァのことを探していた。
月の眼差しは流れる雲を切り裂いて、図書館の窓からボクを淡く照らしていた。
あぁ・・・これでもない・・・これでもない・・・
本棚を荒々しくかき回しているうちに一冊の本が鈍い音を立てて冷たい大理石の床に落ちた。
ボクは動きを止めたと同時に、ボクの力で浮いていた本が全て落ちる。
ばさばさと落ちる本、古い紙のニオイ。ホコリが月の光を帯びて、銀色に輝き宙を舞う。
微かに光る一冊の本は「Galaxy Wishes」と書かれていた。
ボクは黙ってその本を拾い上げた。 

「Big Comet,N-O-V-A(大彗星ノヴァ)」は銀河系の神様の一つであること。
7つの星を繋ぎ合わせるのは、その星が認めた特別な人でないといけないこと。
過去に7つの星を繋げてパワーを集め、ノヴァを覚醒させた星の戦士がいたこと。
つまり、大きな試練を乗り越えると願いをかけられる。
それも星が認めた特別な人。
 
その型にはカービィという力で十分だった。
だからボクは カービィを選んだ。 誠実なる星を。
 
(なにをお願いしたんだろ。ボクならー・・・)
 
                *
 
 
「つまりさ、本に書かれてたことだからホントの話かは分からないってことなのサ。」
「えっ・・・?それって実話じゃないの?」
「そう、お伽噺ってことなのサ。でも今はやってみるしかないだろ?」
「そうだね。今ぼくにできることはこの道しかない。星を、ノヴァを信じて・・・」
 
ハーフムーン。ぼくたちは最後の星を繋ぎ、泉に並べる。
7つの星がカービィを包み込む。星は合わさり眩い光を放った。
 
 
(第3章へ続く)