■第3章 眩い虹色の翼

■第3章 眩 い 虹 色 の 翼
 
 
光が眩しい。ぼくたちは7つの星に連れられて夢の泉から宇宙空間まで飛んでいた。
激しい光の中にいたのは・・・
「大、彗星・・・なの?」
その姿は見るに時計、といったところだろうか。
神様なんていうものだから羽が生えたとか、ワムバムロックみたいなものかと思った。
ノヴァの優しく青い瞳は吸い込まれそうなくらいきれいで、深くて、ひろくて、あおかった。
歯車はがしゃがしゃと忙しそうな音を立てている。
「ああ・・・ああ・・・やっぱり、ノヴァはいたんだ・・・お伽噺じゃなかったんだ・・・」
マルクは目一杯に輝かせて、なんとも言えない顔をしている。
圧倒されて唖然としているぼくらにノヴァはゆっくり、空間全体を包むようなやさしい声で話し始めた。
「READY・>」

「―――貴方の願いを一つだけ叶えてさしあげましょう・・・」
 
ぼくは深く息を吸った。今ここで願いをかける。これでプププランドに平和は戻るんだ。
 
    灯はゆらゆらと大きな波をたてて揺れている。
      怪しげな紫色の風に揺られて・・・

 
「太陽と月のケ『ポップスターを ボクのものにしたいのサ!』
その時、灯は消えた。
突然の衝撃。いとも軽く吹きとんだぼくの体の目の前に広がるのは
大きなノヴァの体ではなく広い宇宙空間。
 
「マ、マルク・・・?何してるの・・・何を言って・・・?」
「――――分かりました。貴方の願いを叶えましょう。」
マルクの願いに答えたノヴァはポップスターへと発進し始めた。
「やったぁ!うまくいったのサ!」
マルクの無邪気な声が響く。
ぼくは何が起きているのかすぐには理解できなかった。
「なぁに・・・?何が起きてるのかさっぱりだって顔をしてるねえ?
まあ馬鹿なくらい正直で素直で子供なキミにはちょっと難しかったかもねえ~~~くすくす♪」
 
「馬鹿で可哀そうなカービィちゃんにぜーんぶ説明してあげるよ!馬鹿でも分かるようにね!
太陽と月がケンカしたもの、キミがこうして宇宙にいるのも、ボクの願いが叶ったのも
全部、全部、全部全部ぜーんぶボクの完璧な計画なのサ・・・!」
「どうして・・・?なんで?マルクはポップスターを救いたいんじゃなかったの!?」
 
「覚えてる?ボクとキミが初めて出会った時の、キミの希望に満ちた顔。
星やみんなを愛し、救うと誓ったキミの言葉。ばっかみたい!
どいつもこいつもいつの世にも煌びやかなものは愛?名誉?誇り?誓い?
どれもこれもくだらない戯言にしかすぎないのサ・・・!
救おうだなんて誰がそんなこと抜かすか馬鹿目が!」
 
「数えきれない命や希望・・・そんなもの、全て塗り潰せば全部ボクのもの・・・!
もうじきポップスターだって・・・あひゃ、あひゃひゃひゃひゃ・・・」
 
笑いながらマルクは闇に呑まれる。奇形化した翼は眩い虹色。
「ボクが王になるんだ・・・ふふっ・・・あははははははは、ははははははは!!」
 
不気味な悪魔の笑い声に寒気が走った。
喉がキリキリと痛む。
「ノヴァを・・・ノヴァを止めなくちゃ・・・」
ぼくは泣きそうな声で呟いた。
 
 
(第4章へ続く)